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概念ガイド

マスタとバージョン解決

Basee Payroll Engine が使う料率表・税額表・端数処理ルールなどの法令マスタは、破壊的更新をしません。内容を変更する場合は、既存のバージョンを書き換えるのではなく、新しいバージョンを追加します。過去のバージョンは残り続けるため、過去の支払日に対する計算は当時のルールのまま再現できます。

計算リクエストごとに、company_idpayment_date の組み合わせで、その時点で有効な設定バージョンが自動的に解決されます。

  • 会社別計算プロファイル
  • 所得税表(月次給与・所得税シミュレーションは月額表、賞与計算は賞与表)
  • 社会保険料率表(健康保険・介護保険)— 会社ごとに設定した都道府県・プリセット、または独自料率から解決されます
  • 厚生年金保険料率表・雇用保険料率表・端数処理ルール — 全国一律で、有効なバージョンが自動的に解決されます

解決されたバージョンは、レスポンスの settings_snapshotcalculation_trace.master_refs の両方に記録されます。

settings_snapshot は、そのリクエストで実際に使われた設定バージョンの一覧です。本番での再計算や確定計算では、前回のレスポンスから受け取った settings_snapshot の内容をそのまま次のリクエストの settings_lock として渡すことを推奨します。

settings_lock を指定した場合、解決された会社プロファイル・税額表・社会保険料率表・厚生年金保険料率表・雇用保険料率表・端数処理ルールのバージョンが完全に一致しない限り、409 settings_lock_conflict が返ります。これにより、法令マスタが更新された後に同じリクエストを送っても、意図しないバージョンで計算されてしまうことを検知できます。

社会保険料率として会社ごとに設定が必要なのは、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金です。このうち健康保険・介護保険は都道府県ごとに異なりますが、子ども・子育て支援金率は全国一律です。厚生年金・雇用保険・所得税表・端数処理ルールは全国一律のため、自動的に解決されます。ただし、源泉所得税の計算方式だけは会社計算プロファイルで月額表または電算機計算の特例から選択でき、既定は月額表です。会社を作成した直後は社会保険が未設定の状態で、設定するまで計算APIは使えません(黙ってデフォルトの料率が適用されることはありません)。

社会保険料率の設定では、まず 都道府県の指定が必須 です。これは協会けんぽプリセット・独自料率のどちらを選ぶ場合でも必要な、独立した必須項目です。そのうえで、保険料率の決め方を次の2通りから選びます。

  • 協会けんぽプリセットを選択する — 指定した都道府県について、取り込み済みの協会けんぽ都道府県別料率(47都道府県分)が適用されます。
  • 独自料率をインラインで登録する — 健康保険組合など、協会けんぽ以外の料率を使う会社は、料率を直接登録できます(この場合も都道府県の指定は必要です)。独自料率では子ども・子育て支援金の料率も自己申告で設定します。

子ども・子育て支援金は2026年4月分の給与・賞与から適用される制度です。それ以前の支払日に対応するマスタでは料率が null として保持されており、null の期間は支援金 0円として計算されます。

独自料率は 自己申告・即時有効 です。運営側の承認を待たずにその場で適用されますが、正しい料率を設定する責任は登録した会社側にあります。独自料率を使った計算の calculation_trace.master_refs には company_self_declared_social_insurance という参照が記録されるため、どの設定が使われたかは常に監査できます。